- 2005-6-3
- コラム
歯科医院の院長先生には、診療とともにスタッフの指導を行なうという大きな役割があります。診療業務以外に、マネジメント業務を担うというのは、プロ野球でいえば、監督をやりながら、エースピッチャー、または、4番バッターであるのと同じくらい負担が大きいことだと思います。
私の記憶が正しければ、プロ野球界で、監督でありながら現役選手として成功したのは、南海ホークス時代の野村克也監督くらいではないでしょうか。
しかし、歯科業界では、そういう方、たくさんいますよね。
そういう方は、個々のスタッフの能力を最大限に発揮させる能力に優れていることが多いです。
では、実際には、マネジメントに際してはどのようなことが重要なのか、リカートの唱えた3つの原則をみていきましょう。
リーダーの行動理論で有名なレンシス・リカート(Likert, Rensis, 1903-1981)は、業績の高い組織の原則を3つの原則として次のように説明しています。
まずは、支持的関係の原則です。この原則は、管理者の部下に対する関心の度合いが、大きく業績に影響するということです。自分は組織に受け入れられている、認められていると、スタッフが思える時には、その組織に対して強い忠誠心を持つことになり、自分の持てる力以上を発揮しようと思いますから、組織全体としての作業効率が上がるということです。
皆さんのスタッフへの関心度は、いかがですか?
例えば、スタッフの誕生日を記憶していますか?スタッフの家族のことを把握されていますか?リカートは、スタッフのモチベーションアップのためには、まずは、このようなことが重要であると言っているのです。
次に、第二の原則として、組織形成においては、個人ではなく、小さな集団を一つの単位として、動く仕組みづくりをあげています(集団的意思決定の重要性)。
こうすることによって全てのスタッフが意思決定に参加することが可能になりますから、一人ひとりの自主性が向上するというというわけです。
日常の歯科医院での業務の役割分担も1人単位で任せるのではなく、複数人で1つのテーマを任せたほうが、スタッフの自主性が高くなり、効果的だということです。
最後は、高い目標の原則です。この原則は、組織にとって重要なのは、高い目標の設定で、高い目標を掲げることによってスタッフ個々の自己実現欲を高め、その結果、仕事の生産性が向上するということです。
自院の保険点数、患者数、自費金額、新患数、リコール率、キャンセル率、等の経営数値をスタッフへ公開して、「ちょっと達成するのは難しいかな・・・」というくらいの高めの目標数値を設定し、それを達成できた時に、思い切ってスタッフに還元することで、組織は活性化するということです。
経営は、ノウハウは学ぶことではなく、実行することが重要であるということを認識していただき、歯科医院経営に活かしていただければと思います。