- 2017-9-8
- コラム
歯科医院の数はコンビニの数と比較すると、約1.5倍も多く過当競争状態に陥っている、という声をお聞きになったことがあるかと思います。実は、日本の歯科医院の数は、経済協力開発機構(OECD)加盟各国で比較すると、特に多いわけではなく、平均的な数なのです。
また、歯科医師の数は、世界保健機関(WHO)が発表した報告書によれば、日本の人口10万人当たりの歯科医師の数はアメリカの半分、スウェーデンより少なく、ドイツやフィンランドとほぼ同じで、日本の歯科医師の数は特に過剰というわけではありません。
では、なぜ日本では過当競争状態に陥ってしまっているのでしょうか?
これは、依然として、治療目的での来院がまだまだ多く、需要(患者様)と供給(歯科医院)のアンバランスが主因として挙げられます。
歯に対する地域生活者の意識が「治療主体」から「予防主体」にシフトしていけば、また状況も変わってきます。
「予防主体」へのシフトとともに、「自費メニューの強化」が求められます。
自費率アップの一番のネックは費用の違いなので、その治療が費用に見合う、もしくはそれ以上の価値を感じて・納得してもらう取組が必要です。
患者様に自由診療を選択いただくには、以下がポイントになります。
1.その治療の特徴とメリットとデメリットを分かりやすく説明する
治療説明は、周りの歯への負担が少ない、生活の質を維持、メンテナンスの容易性、等々を重点的に説明しましょう。
審美性等の見た目は一目瞭然ですので、それ以外の有用性を説明すると効果的です。
ただ、自費の良い面ばかり説明すると「売られている感」が強くなるので、その点に注意が必要です。
あくまでも選択肢を提示しているだけなので来院者が「保険治療」を選択されても良いのです。
「自費治療」、「保険治療」のいずれにしても、本人が選択することが重要です。
2.その治療を受けることで得られる未来像をアピールする
1.にも関係しますが、この治療を受けることによる、長期的なメリット(未来像)をアピールして、患者様にイメージしてもらえるよう働きかけましょう。
具体例としては、イメージ図や、自医院で手掛けた事例(写真等)等が効果的です。
良いイメージとそうでない逆のイメージとの差を来院者が把握できるツールがあると効果的です。
3.自医院のオリジナルメニュー
上述で述べたように自費診療は治療費が一番のネックです。逆にこれ以外でネックになる部分は見当たりません。
保険治療も会わせて、異なる複数のプランを提示するわけですが、目安として3種類のプラン提示が良いでしょう。
あまりプランを多く提示しても、選ぶのに困ってしまい、いったん持ち帰って検討となり、結局どれも選択しないということになりかねません。
その際に、どれだけ自院のオリジナルメニューが存在するのかどうかが焦点です。
歯科医院も自院のオリジナルメニューを開発していく時代になってきています。
一番大事なことは、『お互いが合意し、患者様が安心して治療を受けられる信頼関係を結ぶ』ことです。
信頼されるためには、信頼を得るための行動を歯科医院側から起こす必要があります。
そのためには、治療の実績だけでなく、「歯医者が書いたデンタルブログ」のような歯に関する情報提供サイトで信頼性の高い情報を提示するのも有効な手の一つです。
信頼を得て、治療を成功裏に実施できれば、患者様が「治療を受けて良かった」と自然に思っていただけます。
そして、患者様の方から自然と家族や知り合いに広めてくれ、その口コミで来院された、患者様に同様の対応を行えば、自由診療の比率が更に高まります。
自由診療売上が安定化すれば、保険診療に依存しなくても売上、利益も安定化し、歯科医院経営がより良い方向に向かうことと思います。